★PickUp
目次
年末年始に、久しぶりに近所のお兄さんが帰ってきた。
少し話して、少し歩いて、エッチした。それだけの話。
年末になると、町の音が少しだけ静かになる。
自転車のベルも、踏切の音も、どこか遠い。
「久しぶり」
そう声をかけてきたのは、近所に住んでいた年上のお兄さんだった。
前に会ったのは、小学生のころ。
今は都会で働いているって、母から聞いていた。
背が高くなって、コートも大人っぽい。
でも、目が合ったときの笑い方は、昔と同じだった。
「ちゅー坊か。早いな」
そう言われて、
「うん」って答えながら、なぜか制服のスカートを引っ張ってしまう。
買い出しのついでに、二人でコンビニへ行く。
お兄さんは迷わずレジに向かって、
「温かいのにしとく?」って聞いた。
缶のコーンポタージュを渡されて、
手のひらがじんわり温かくなる。
川沿いを歩く。
冬の水は黒くて、風が冷たい。
昔、自転車の練習をした場所だ。
「ここ、よく転んでたよな」
そう言われて、
「……覚えてない」って言ったら、笑われた。
夕方の空が紫色になって、
どこかの家から年末番組の音が流れてくる。
「もうすぐ受験だろ」
その一言で、現実に戻る。
でも、応援されている感じがして、少しだけうれしい。
家の前で立ち止まる。
「また帰ってきたら声かけるよ」
そう言って手を振る背中は、
やっぱり少し遠く感じた。
玄関に入ってから、
なぜか胸の奥がそわそわしていた。
🐻🐻


























