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夏の夕暮れに、もう一度
幼なじみのユウキとマナは、小さい頃からいつも一緒だった。家が隣同士で、毎日のようにお互いの家を行き来し、放課後は近くの公園で泥んこになって遊ぶのが日常だった。でも、中学生になり、思春期を迎えた頃から、少しずつ距離ができていた。
ユウキはサッカー部に入り、部活や勉強に追われる日々。マナもバレーボール部に入って、放課後は部活で忙しくなっていた。なんとなく気まずさもあって、会っても軽く挨拶するくらいで、ほとんど話すこともなくなっていた。
そんなある日の夕方、ユウキは久しぶりに部活が休みで、家の前でぼんやりしていた。すると、マナの家の庭から、ボールが弾む音が聞こえてきた。気になって覗いてみると、マナが一人で壁に向かってバレーボールを打っていた。
「マナ、何してんの?」ユウキが声をかけると、マナは少し驚いた顔をしたが、すぐに笑って「自主練」と返した。
「相手いた方がいいだろ?一緒にやろうぜ」
最初はぎこちない感じだったけど、少しずつお互いのリズムが戻ってきて、ふたりは夢中になってバレーボールで遊んだ。
気がつけば、いつの間にか夕日が沈みかけ、空は薄暗くなっていた。少し息が切れて座り込む二人。久しぶりに心地よい疲労感と懐かしい感覚が胸を満たしていた。
「楽しかったな、今度俺の部屋に来いよ」とユウキが笑うと、マナも小さく頷いた。「うん。」
その日から二人は、少しずつまた一緒に過ごす時間を増やしていった。大人になっても忘れない、幼なじみとの夏の夕暮れの思い出。
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