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グレーの靴音|第1章「図書室の奥の席」
放課後、小雨の降る夕方。
古い図書室の奥にいたのは、教育実習で来ていた大学生の“先生”。
「ここ、使ってもいいよ」と彼は静かに言った。
向かい合って座った机の上。
開いていたノートの端、
私の手に、彼の指がそっと触れた。
振り払おうとは思わなかった。
ただ静かに、胸がざわついた。
“選ばれたのかもしれない”
そんな風に思ってしまったのは、
あのときの私だけだろうか。
次に彼と出会ったのは、図書室ではなかった――。
(第2章「夜の駄菓子屋と黒タイツ」へつづく)





